論文タイトル : High sea surface temperatures driven by a strengthening current reduce foraging success by penguins
著者 : Gemma Carroll, Jason D. Everett, Robert Harcourt, David Slip, Ian Jonsen
オーストラリアには、フェアリーペンギンが生息しています。現存するペンギンでは最小で、身長が40cm、体重が1kg程度しかありません。フェアリーペンギンが繁殖地として利用している、モンタギュー島という島があります。オーストラリア大陸から9km離れた南東にあり、700以上ものつがいが繁殖しています。島のまわりは海流の影響で、海水面の温度が大きく変わります。
この研究では、フェアリーペンギンにGPS発信機をつけ、繁殖期である9月、11月、12月の海水温とえさを捕まえた海域との関係を調査しています。
下の図は、モンタギュー島からえさを捕まえにいったペンギンをGPSで追いかけた結果です。
調査結果から…
● 水温が低い海域でえさを捕まえる (上図の青い部分)
● 水温が高い海域には見向きもしない (上図の赤い部分)
● 水温が低い海域がないときはえさをあまり捕まえていない (2014年)
近年は、調査海域あたりの海水面温度が上がっています。上の結果からわかる通り、水温が上がるとペンギンたちはあまりえさを捕れません。子育てのときにえさが捕れないと、ヒナも育たないかもしれません。
2030年には0.7~1.4℃、2100年には2~3℃も水温が上昇するといわれています。もしかすると、水温が上がることによって、フェアリーペンギンが絶滅へと向かうことになるかもしれません