映画公開が待ち遠しくて仕方がない、ペンギン大学研究員・小川起世美です。
2018年8月25日(土)に公開される『皇帝ペンギン ただいま』を前に
7月3日に、来日していたリュック・ジャケ監督に
映画の配給会社であるハピネット本社にて、独占インタビューを行いました。
監督への質問の前に、
わたくし小川がペンギンを好きになったキッカケが12年前の『皇帝ペンギン』だということを伝え、
「そのおかげで今の私がいます!」と言うと
「見たらわかるよ」と私の服装(ペンギンTシャツ・スカート・靴下・イヤリング・ネックレス)を見て言われました。
ただ「腕時計がペンギンじゃないね。ミステイクだね」とも指摘され、
元生物学者、さすがの観察力だなと感心しました。
今後は細部まで気をつけます…!
監督に面白がって頂けたところで、インタビューを始めました。
一つ一つの質問に、丁寧にご回答くださいました。
どの回答も素晴らしく、ほぼ全文載せています。
非常に長文となっていますので、お時間のある時にじっくりお読みください。
目次(質問一覧)
・仕事でペンギンを撮影しているが、プライベートでもペンギンは好き?
・日本にペンギン好きが多くいるが、フランスにもペンギン好きはたくさんいるか?
・ペンギン好きは沢山いるが環境問題に繋げる人はまだまだ少ない。そういう面はどう思うか?
12年越しにまた『皇帝ペンギン』を製作した経緯は?
ずっと、漠然とまた撮りたいと思っていたが、
2015年のパリで行われたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)に合わせ南極遠征をし、
南極の今の現状を伝えられることができた。
それが、また改めて映画を作るキッカケとなった。
また、前作の『皇帝ペンギン』では水中のペンギンの様子をほとんど撮影できなかったので、
それをやはり見せたいという気持ちがあった。
あれから十数年経つうちにカメラも高性能になり、
熟練ダイバーたちの出会いもあり、撮影可能な条件が揃った。
あともう一つは私個人として、『皇帝ペンギン』の後に至る所でペンギンの話をしたけれど、
そのうちに彼らたちにまた会いたいという気持ちが強くなり、
それもあってこの映画を実際に作ることになった。
映画の見所は?
一番最初に南極に遠征したのは1991年、一番最近だと2015年。
その間に何度か遠征しているが、ある研究者が「50年生きているペンギンもいる」ということを知り、驚いた。
南極の過酷な冬を50回も体験している、そんな生命力を持った動物が本当にいるんだと知った時に、
その秘訣やノウハウ、パワー、そういったものは、個々で生きていく間に学習して得るものなのか、
遺伝子として引き継がれていくものなのか…
皆が皆40年も50年も生きるわけじゃない。
その中で長寿のペンギンもいるということで、理由が何かあるはずだ。
そこを探りたいという気持ちがあり、この作品を撮った。
まだ答えは出ていない。
今後の研究者の研究テーマでもあるんだけれど、その部分を映画を通して感じてほしい。
南極に何度も行っている中で、南極での環境変化は?
景色がすごく変わった。氷の動きも随分変わって、
アイスバーグ(氷山)の流れがすごく早く変化した。
それにより海水の流れにも影響を及ぼしている。
また、1991年以降、2・3年に1回のペースで南極に行っているが
今回初めて雨が降ったのを目撃した。
何年も前から学者から「いずれそうなる」ということを言われてきたので
衝撃と同時に「とうとうこの時期が来たんだ」と感じた。
気温の1、2°Cというのは私たちにとっては何の変化も感じないけれど、
南極では大きな出来事の一つとなる。
生態系の変化というのは、コウテイペンギンだけではなく、
アデリーペンギンなどすべての南極に生きている生命体に及ぶわけなので本当に危機感を感じている。
南極と離れた環境生きている今の自分たちができることは?
一番シンプルなのは、COP21で主張されたことを各国が守り、実践していくことが簡単なのだと思う。
地球温暖化というのは南極だけでなく、いろんな地域で影響を受けている。
南極においては1、2°Cの変化だけれども、
地域によっては10°Cくらいの温度変化があるわけで、
本当に緊急を要する状況なんだということを、今以上に認識しなければいけない。
また、身近でできることというのは、エネルギーを変えていくということ。
これは多くの学者たちが言っているが、燃焼させるエネルギーはもう使わない方向で他のエネルギーを開発していかなければいけない。
仕事でペンギンを撮影しているが、プライベートでもペンギンは好き?
ペンギンを撮影せずとも、彼らを何時間でも眺めていられる。
なぜかというと、彼らの美しさ、人間のような姿が自分を惹きつけている。
もちろん、ペンギンが持っているとてつもない能力【陸地では陸地の、水中では水中の】という
全く違う環境の中であれだけの能力を発揮できる高い能力を持った動物ということもあるが、
それ以上に彼らの美しさに私は魅了されている。
日本にペンギン好きが多くいるが、フランスにもペンギン好きはたくさんいるか?
日本ほどではないと思う。
【ペンギン】は世界的に愛されている動物の一つだとは思うが、
例えば中国であればパンダとか、国によってそれぞれ身近に感じる動物は違うと思う。
だから日本人が「ペンギン!」というほどフランス人が好きかっていうとそれほどではない気がする。
けれど、【ペンギン】は自然界のパワーの象徴として今たくさんの人を惹きつけているとは思う。
ペンギン好きは沢山いるが環境問題に繋げたりする人はまだまだ少ない。そういう面はどう思うか?
動物が好きな人はたくさんいて、でもその人たちが政治的な意識までにはいかない。
それは当然だと思う。
ただ私としては、動物の美しさに・可愛らしさから、動物を守ること、
自分の可愛い大好きな動物を長い間可愛がっていられることというのを、
自然や地球温暖化に繋がるんだという方向にいってほしいがために、私はこういう活動をしている。
まずは『好き』『動物を可愛がる』のはとても大事。
そういう動物たちがいなくなるという環境変化が起きている、というところまで考えられれば良いんだけれども、
まず『動物が好きだ』ということは重要だと思う。
監督にとってコウテイペンギンとは何か?
私とコウテイペンギンは切っても切れない仲。
南極に行ったのは1991年でその時は生物学者として14ヶ月滞在し、毎日ペンギンを見ていた。
そのペンギンたちとの出会いがあったことで職業まで変えて、私は映画人になった。
私の人生の大半をペンギンたちと過ごしているし、
職業的にも個人的にもやはりペンギンというのは
自分の中でこれからも永遠にとても大切な動物として位置付けていくものになると思う。
まとめ
いかがだったでしょうか?
30分という短い時間の中でも、丁寧に答えてくれたリュック・ジャケ監督。
様々な想いを込めて形となった今回の映画『皇帝ペンギン ただいま』。
監督の想いを受け止めながら、8月25日(土)公開の映画をぜひご覧ください!
『皇帝ペンギン ただいま』公式サイトはこちら
8月25日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他、全国公開
クレジット:©︎BONNE PIOCHE CINEMA – PAPRIKA FILMS – 2016 – Photo:©︎Daisy Gilardini penguin-tadaima.com
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こんな感じでフレーム撮影ができます♪
このインタビュー後、都内にてプレミア試写会と監督のトークショーが行われました。
その様子と映画の見所(私目線)を次の記事でお伝えします!
おまけ
インタビュー終了後、監督へのプレゼントとして小川自作のコウテイペンギンTシャツを贈りました。
喜んで頂けたようで嬉しく思います!
リュック・ジャケ監督、ご協力下さったハピネット様、その他スタッフの皆さま、
誠に有難うございました!