『皇帝ペンギン ただいま』の公開を記念したトークイベントが開催されるサンシャイン水族館から、ペンギン大学研究員の小川起世美がレポートします。
ペンギン大学学長の上田先生と、皇帝ペンギン ただいまのリュック・ジャケ監督によるトークショー。前作から12年の時を経て、新たに撮影に臨んだ理由や45日間にわたる南極での撮影、皇帝ペンギンの生態などについて語ってくれました。
『2015年にパリで開催されたCOP21(地球温暖化パリ国際会議)において、南極の現状、皇帝ペンギンたちを取り巻く動物たちの生態系などを、ライブで映像提供するために南極を訪れました。
前作の皇帝ペンギンの中では、水中の映像がほとんど入ってません。それは様々な理由で水中での撮影が困難だったのですが、皇帝ペンギンたちは人生の半分を水の中で過ごすわけです。彼らの人性の半分を前回の作品の中では表現することができなかったことに対するフラストレーションがあり、COP21もきっかけになり、今回再び映画を撮ることにしました。』
作品に込めた思いでリュック・ジャケ監督は
『初めて南極を訪れたのは1991年。一番最近訪れたのは2015年。この24年間で、南極は大きく変化しました。南極の氷棚が陸地から分離されたせいで陸地の形も変形しましたし、海の中も変わってしまいました。氷の流れが変わったことで、南極の景色も大きく変わりました。もう1つ衝撃的だったのは、南極で雨を体験したことです。今まで何度か南極に訪れていますが、雨に降られたのは初めてです。雨が降ると様々な影響がありますが、ペンギンの雛にも影響を及ぼします。ペンギンの雛の羽毛には、まだ防水の機能が備わっていません。なので、濡れてしまった雛は、体温を奪われ凍死してしまいます。南極の気温上昇は想像以上に深刻で、気象学者の研究によると、このまま気温上昇が続くと50年以内に皇帝ペンギンは絶滅するだろうということです。
この状況を、私はどう解決したらよいかはわかりません。ですが、私ができることは、この状況をたくさんの方に知ってもらうことで、多くの人たちの意識を変えていく。これが私の今できる事の1つだと思っています。
ペンギンたちにこのような影響があるということは、地球規模の環境問題であるということを知ってもらいたいと思います。』
『皇帝ペンギン ただいま』
©BONNE PIOCHE CINEMA-PAPRIKA FILMS-2016-Photo:©Daisy Gilardini
8月25日(土)より
YEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ他、全国順次ロードショー!
配給:ハピネット