2021年11月17日(水)、南アフリカ東部アルゴア湾内で重油流出事故がありました。すでに「第1報」はお知らせ致しましたが、その後の各種情報を含めて、経過をご報告致します。

まず、今回の事故の経緯を、関連情報を含めてまとめます。

  1. 事故発生  :  2021年11月17日(水) 11:15頃 アルゴア湾内の第1係留ブイにて 、燃料補給船(タンカー)シーエクスプレス号より燃料用重油の補給を受けていたクロアチア船籍のソリン号から、重油約 80リットルが流出した。
  2. 第1報を受けた「南アフリカ海事安全局(SAMSA)」は、「森林水産環境局(DEFF)」や「南アフリカ沿岸鳥類保護財団(SANCCOB)」等のスタッフと共に緊急対応チームを招集し、現地に急派した。チームは 13:45には事故現場に到着。
  3. 緊急対応チームは、現場確認、原因調査、ソリン号・シーエクスプレス号内の調査、関連資料確認等を実施すると共に、流出した約 80リットルの重油を可能な限り回収した。
  4. その後、18日(木)から20日(土)にかけて流出重油の警戒を続けたが、大規模な重油漂着は確認できなかった。しかし、少量の乳化重油(タールボール)がヒューガムパークとサンデーリバー間の海岸約4キロメートルにわたって漂着しているのが確認され、サンプルがSAMSAに送られた結果、そのタールボールは今回の事故によるものだと判明した。
  5. 漂着タールボールは全て回収され、その間、重油汚染されたケープカツオドリ 3羽、ケープペンギン 1羽が収容され、SANCCOBの救護施設で治療されている。このクリーンアップ作業に要した費用を含め、緊急派遣チームの活動経費は、全て、原因となった2隻の船の船主と船舶保険会社によって支払われる見通しである。
  6. また、アルゴア湾内のビーチや島々では、天候が許す限り、緊急派遣チームや保全・救護関係者による監視が続けられている。11月24日(水)現在、SAMSAやDEFFによる詳細な事故調査が行われており、近く、当該船舶2隻は解放される見込み。

今回の事故の経緯は以上です。今後、留意しなければいけない新たなポイントを2つ、以下に記します。

まず、今回の重油流出が、いわゆる「バンカリング」と呼ばれる燃料用重油の補給方法によって生じたことです。これまで野生動物や自然環境に大きな被害を及ぼしてきた原油や燃料用重油の流出事故は、基本的に、タンカーの座礁・沈没、貨物船の座礁・沈没、船舶からの「ビルジ流出」・「油性バラスト水・タンク洗浄水の不法投棄」が主な原因でした。これに加えて、海底油田開発中の事故や海底油田施設の火災や事故による流出も懸念されていました。

ところが、海上で、あるいは今回のように港湾内で、燃料用重油補給船(タンカー)から直接給油を受けている時に重油流出が起きるということが、現実化したわけです。船舶の大小や種類に拘わらず、重油(化石燃料)を基本的エネルギーとし、多くの石油製品(機械油等)を大量に消費し積載している船舶は、常に大きな海洋汚染の原因となり得るという認識を再確認すると共に、「バンカリング」に関する「安全管理・事故対応の充実」をはかる必要があると思われます。

次に、このアルゴア湾内では、2019年にも、重油流出ではありませんが、海洋汚染につながりかねない船舶事故が起きている点にも、注意が必要です。アルゴア湾西部に位置するセントヘレナ湾で、化学物質を積載した貨物船「チンタオ号」が火災を起こし、予防的措置として、セントヘレナから20海里沖合いに移動するよう命じられた事件がそれです。この時は、大きな事故に発展することはありませんでしたが、原油や重油といった油だけでなく、化学物質等の危険物も、大量に海洋流出すれば、深刻な被害を生むことになります。船舶の積荷にも、十分な注意が必要です。

さて、南アフリカの事故現場は、ひとまず、関係当局や専門家、ボランティアの方々のご努力によって、コントロールされているようです。今後、なにか重大な事態が判明した場合には、また、皆様にお知らせして参ります。引き続き、このような活動へのご理解とご支援とを、何卒よろしくお願い申し上げます。

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