「ペンギン飼育マニュアル研究」の初回は「アメリカ動物園・水族館協会(略称:AZA)」が編集し、ネット上で公開されている『 PENGUIN CARE MANUAL(2018年) 』です。このマニュアルは、数年(原則5年)ごとに更新され、常に最新の情報・技術・状況を的確かつ迅速に反映できるようになっています。これを、ペンギン大学研究員の井出貴彦氏が翻訳したものをご紹介しながら、十数回(おそらく15回ほど)に分けて、解説・分析していきたいと考えています。今回は、全体の「目次」・「序論」ならびに、文中に頻繁に登場するペンギン各種の名称・主要な組織による「危機管理上のカテゴリー」を表示し、簡単な注記を付したものを付加しています。

例えば、「危機管理上のカテゴリー」は、

  1. アメリカ合衆国が定めたもの
  2. 国際自然保護連合(略称:IUCN)が定めた『ペンギン・レッド・リスト』からの引用
  3. AZAが定めたもの

の3種類を表示しました。この内、IUCNのカテゴリーと評価につきましては、2016年秋に南アフリカのケープタウンで開催されたIUCN主催の「『ペンギン・レッド・リスト』評価・検討ワークショップ」での結論が反映されています。この年から、筆者はIUCNの「種の保存委員会(略称:SSC)」に属する「ペンギン・スペシャリスト・グループ(略称:PSG)」のメンバー(委員)に選任され、他のメンバー14人とともに「レッド・リスト」編纂、ペンギンの保全・研究活動の推進ならびに教育・普及活動の実施を中心とした業務に携わっています。従って、この「ペンギン飼育マニュアル研究」は、いわばIUCNスタッフとしての筆者が基本的に取り組むべき業務でもあるのです。

では、まず、『AZAペンギン飼育マニュアル』の「目次」と「序論」とをご覧いただき、全体の構成とこのマニュアル編纂の目的とを確認して下さい。その際に、皆様がお感じになったことあるいは疑問・ご質問などがありましたら、この「ペンギン大学」のお問い合わせにご連絡をお願い申し上げます。この分野に関心をお持ちの方々と、分析・研究を進めていきたいと思います。

【ペンギン大学 学長 上田一生

序論 Introduction

上記よりPDFにてご覧ください。

このマニュアルに含まれる情報は、AZA Taxon Advisory Groups (TAGs)、Species Survival Plan Programs (SSPs)、Studbook Programs、生物学者、獣医、栄養士、繁殖生 理学者、動物行動学者、研究者などの専門家から得られた知識を記しています。これらは動物飼育管理に関する最新の科学、実践、技術をベースとして、また、ペンギンの域外保全個体群の動物福祉を向上する多様な資料ともなっています。 さらにこのマニュアルは少なくとも 5 年ごとに見直され、新たな知見がアップデートされる生きた資料なのです。 資料は、AZA 加盟施設全員に対する教育とトレーニングを目的としていて、管理方法、餌、治療、医療行為だけではなく、個体ごとや各施設の個別の状況に合致したものともなり得ます。

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